• 2026年7月4日

リウマチの血液検査が陰性でも関節リウマチ?血清反応陰性リウマチとは|御所南リウマチ膠原病どいクリニック(京都市中京区)

血清反応陰性リウマチ(seronegative RA)とは

 外来を受診される方がよく「病院で血液検査をしてリウマチではないと言ってもらえました。でもその後も関節の痛みが続くんです。」とお話をされます。

リウマチ患者さんの3分の1は血液検査では診断できないので、しっかりもう一度調べようとお話します。その後、関節リウマチの診断となり治療でよくなっていく人もたくさんいらっしゃいます。

せっかくですので、こういった血液検査で診断できないリウマチ患者さんをまとめた文献を紹介します。

Serological Biomarkers, and Synovial Features Defining Seropositive and Seronegative Rheumatoid Arthritis: A Literature Review. Cells. 2024 Apr 24;13(9):743.

以下はAI要約を修正・追記しています。


リウマチの血液検査が陰性でも関節リウマチはあります

関節リウマチでは通常、

  • リウマトイド因子(RF)
  • 抗CCP抗体

という2種類の自己抗体を測定します。

これらが陽性であれば診断の大きな手掛かりになりますが、陰性だからといって関節リウマチを否定することはできません。

実際には約20〜30%の患者さんが両方とも陰性であり、「血清反応陰性関節リウマチ」と診断されます。

つまり、リウマチの診断は血液検査だけではなく、症状・診察・画像検査を総合して行う必要があります。


なぜ診断が難しいのでしょうか?

現在使用されている関節リウマチの分類基準では、RFや抗CCP抗体が陽性であることが大きな評価項目です。

そのため血液検査が陰性の場合は、

  • 診断まで時間がかかる
  • 他の病気と区別しにくい
  • 治療開始が遅れる

ことがあります。

しかし、早期治療ほど関節破壊を防ぐ効果が高いことが分かっており、診断の遅れはできるだけ避ける必要があります。


「陰性だから軽症」は間違い

以前は、

「血液検査が陰性なら軽いリウマチ」

と考えられていました。

しかし近年はこの考え方が変わってきています。

最新の研究では、

  • 強い滑膜炎を認める患者さんがいる
  • 腱鞘炎が多い
  • 関節破壊が進行する症例もある
  • 生物学的製剤やJAK阻害薬の治療効果は血清反応陽性例と大きな差がない

ことが報告されています。

つまり、血液検査が陰性でも、治療が必要な関節リウマチは決して少なくありません。


血液検査よりも重要になる画像検査

血清反応陰性リウマチでは、画像検査が診断の大きな助けになります。

特に関節エコーでは、

  • 滑膜炎
  • 腱鞘炎
  • 炎症による血流増加

を確認できます。

またMRIでは、レントゲンでは分からない早期の炎症を見つけられる場合があります。

そのため、「血液検査は陰性だけど症状が続く」という方では、画像検査を組み合わせることがとても重要です。


将来は新しい血液検査が診断を変えるかもしれません

現在広く使われているのはRFと抗CCP抗体ですが、研究では新しいバイオマーカーも数多く報告されています。

代表的なものとして、

  • 抗CarP抗体
  • 抗PAD抗体
  • 抗RA33抗体
  • microRNA
  • PTX3

などがあります。

現時点では一般診療で使用されていませんが、今後は血清反応陰性リウマチの早期診断につながる可能性があります。


最近の研究で分かってきたこと

2024年のレビューでは、血液検査だけではなく、関節の滑膜組織を詳しく調べる研究も紹介されています。

その結果、

  • 炎症を起こす細胞
  • 遺伝子発現
  • 滑膜組織の特徴

が、血清反応陽性リウマチと陰性リウマチでは異なることが分かってきました。

つまり、「抗体がないだけのリウマチ」ではなく、異なる病態を持つ可能性があるということです。

今後は血液検査だけではなく、滑膜の特徴や遺伝子情報を組み合わせ、一人ひとりに最適な治療を選択する「個別化医療(Precision Medicine)」が期待されています。


まとめ

  • 関節リウマチの約20〜30%は血液検査(RF・抗CCP抗体)が陰性です。
  • 血液検査だけでは関節リウマチを否定できません。
  • 血清反応陰性でも関節破壊が進行することがあります。
  • 診断には診察・関節エコー・MRIなどを組み合わせた総合的な評価が重要です。
  • 最新研究では、新しい血液マーカーや滑膜解析による個別化医療が期待されています。

「血液検査が陰性だから安心」とは言い切れません。

気になる症状が続く場合は、早めにリウマチ専門医へ相談することが、関節を守るための第一歩です。


このような症状がある方はリウマチ科へ

血液検査が陰性でも、次のような症状が続く場合はリウマチ科への受診をおすすめします。

  • 朝の手のこわばりが30分以上続く
  • 指や手首が腫れている
  • 足の指や足首にも痛みや腫れがある
  • 左右対称に関節が痛む
  • 数週間以上症状が改善しない

血液検査だけで「異常なし」と判断せず、専門医による診察を受けることが重要です。


感想

リウマチを診断する際によく使われるリウマチ因子(RF)、抗シトルリンかペプチド蛋白抗体(抗CCP抗体)がどちらも陰性の患者さんを、seronegative RAと呼びます。

上の文献ではseronegative RAの方は全体の2~3割と話していますが、早期の患者さんでは50%弱がseronegativeだったという報告もあります。(Arthritis Res Ther. 2019 Jun 6;21(1):140.)

またほかにCRPという炎症の値や、MMP-3という関節内の炎症であがる値も参考にしますが、患者さんの中にはそのいずれも上昇しない人も見かけます。

seronegativeかつCRP/MMP-3が上昇していない患者さんでは、血液検査でまったく手がかりがない状況で診断しなければならず、専門医でも非常に苦労するケースも多いのが実情です。

そんな方には関節のX線撮影や、関節超音波検査などを組み合わせて診断。どうしても診断がつけきれない時は、患者さんと相談しながら治療方針を決めていくようにしています。

またRF/CCPが陰性だけど関節症状が続く患者さんの中には、全身性エリテマトーデス・皮膚筋炎など、実はほかの膠原病だったという方も多くみられます。

血液検査では問題ないと言われたけど、関節痛が続いて困っている。

そんな方は、ぜひ一度リウマチ科・膠原病内科の受診をご検討ください。

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