• 2026年9月29日

関節リウマチと腸内細菌は関係する?|御所南リウマチ膠原病どいクリニック(京都市中京区)

 少し前からお腹と免疫力に関するお話をよく耳にするようになりました。「腸内細菌を整えて免疫力アップ」のようなキャッチフレーズもよく目にします。

では免疫の病気である関節リウマチも腸内細菌と関係はあるのでしょうか?

ということで本日は腸内細菌とリウマチに関する文献をご紹介します。

Gut microbiota dysbiosis in rheumatoid arthritis: a systematic review and meta-analysis. Explor Med. 2024;5:709–719. doi:10.37349/emed.2024.00251

以下はAI要約を中心に加筆・修正しています。

関節リウマチは「腸」とも関係する? 約2,000人の研究からわかったこと

リウマチの患者さんの腸には、どんな違いがあった?

この論文では、関節リウマチ患者さん1,166人と健康な方968人、計2,134人を含む18の研究をまとめています。

研究者たちが注目したのは、便から調べた腸内細菌の「多様性」です。腸内にどのくらい多くの種類の細菌がいて、それぞれがどのくらいバランスよく存在しているかを表します。

解析の結果、関節リウマチの患者さんでは、健康な方に比べて腸内細菌の多様性が低い傾向が見られました(Shannon指数の標準化平均差 −0.51、95%信頼区間 −0.80~−0.22、15研究)。

「多様性が低い」とは、単に細菌の総数が少ないという意味ではありません。いろいろな種類の細菌がバランスよくいる状態と比べて、種類やその割合に偏りがあるイメージです。

一方、研究ごとの結果には大きなばらつきがありました(I²=87.9%)。研究を行った地域や、患者さんの食事・治療状況などによって、結果が異なる可能性があります。

そのため、「リウマチの患者さんなら誰でも腸内細菌の多様性が低い」とは言えません。

治療前の患者さんで違いが目立った

腸内細菌の多様性の低下は、まだ抗リウマチ薬を使っていない患者さんで、よりはっきり見られました。一方、治療中の患者さんでは、健康な方との明確な差は見られませんでした。

これを見ると「薬を飲めば、腸内細菌も整うのかな?」と思いますよね。ただ、この研究では同じ患者さんの治療前後を比較したわけではありません。薬によって腸内細菌が変化した、とまでは言えない結果です。

腸内細菌から、リウマチの状態がわかる?

この論文では、病気の活動性によって患者さんを分けた316人についても解析しています。しかし、腸内細菌の多様性に明確な差は見られませんでした。

つまり、現時点では便の検査で「リウマチが悪くなっている」「薬が効いている」と判断することはできません。診察では、関節の腫れや痛み、血液検査などを合わせて病状を評価します。

食事や乳酸菌で、リウマチをよくできる?

ここが患者さんにとって、いちばん気になるところかもしれません。

今回の論文から分かったのは、リウマチの患者さんと健康な方では、腸内細菌に集団として違いが見られるということです。

その違いがリウマチの発症に関わったのか、病気や治療、食生活の影響で生じたのかは、まだ分かりません。この論文は、地中海食や乳酸菌製品を試してリウマチが改善するかを調べた研究でもありません。

まとめ

関節リウマチと腸内細菌には、何らかの関係がありそうです。ただし、「腸内細菌がリウマチの原因」「腸内環境を整えればリウマチが治る」と結論づけることはできません。

腸内細菌の研究が、将来どのように診療につながるのかは興味深いところです。今は食事や乳酸菌だけで病気をコントロールしようとせず、関節の状態を確認しながら、必要な治療を続けることが大切です。

 感想

 腸内細菌叢は全身の免疫にも影響していることが知られており、やはり関節リウマチとの関連性もありそうです。一方、乳酸菌などのプロバイオティクスを用いた試験をまとめた研究では、リウマチの活動性に明確な改善は確認されませんでした。(BMC Med. 2024 Mar 13;22(1):110.)腸内細菌さえ改善すればリウマチが治る、というような単純なものではなさそうです。

また地中海食をよく取り入れている患者さんでは、リウマチの活動性が低く、腸内細菌叢にも違いが見られたという報告もあります。(Microorganisms. 2020;8:1989)

いずれにしろ非常に興味深く、今後の研究の進歩に期待したいお話でした。

御所南リウマチ膠原病どいクリニック 075-708-2484 ホームページ