• 2026年8月5日

日焼けすると膠原病になりやすい?|御所南リウマチ膠原病どいクリニック(京都市中京区)

全身性エリテマトーデスなどの膠原病は強い日光を浴びると病気が悪化することは知られており、外来でもよく「日焼けにはきをつけてくださいね。」とお話する場面はよく見られます。

たまにお返事に困るのが、「日焼けすると膠原病になりやすくなりますか?」という質問。

そこで日焼けが膠原病発症リスクを上げるかという文献を見てみました。

 Association of Ultraviolet B Radiation and Risk of Systemic Lupus Erythematosus Among Women in the Nurses’ Health Studies. Arthritis Care Res (Hoboken). 2023 Jul;75(7):1409-1415. 

以下はAI要約を中心に、一部追記・修正しています。

紫外線は膠原病の原因になる?SLE(全身性エリテマトーデス)約23万人を40年間調べた研究をご紹介します

「紫外線そのものがSLEを発症させるのか?」

については、これまで十分なデータがありませんでした。

今回は、アメリカで約23万人の女性を約40年間追跡した大規模研究をご紹介します。


約23万人を40年間追跡した大規模研究

この研究では、アメリカの女性看護師約23万人を対象に、約40年間追跡しました。

参加者が住んでいた住所からNASAの衛星データなどを利用して紫外線量を推定し、その後SLEを発症したかどうかを調べています。

追跡期間中に新たにSLEと診断された方は297人でした。診断は自己申告ではなく、リウマチ専門医が診療録を確認したうえで確定されています。


結果はどうだった?

研究結果をまとめると、以下のようになりました。

項目HR(最も紫外線が多い群)結果
SLE全体1.28(95%CI 0.96–1.70)❌ 有意差なし
光線過敏を伴うSLE1.29(95%CI 0.88–1.88)❌ 有意差なし
蝶形紅斑を伴うSLE1.62(95%CI 1.04–2.52)✅ 有意に増加

紫外線だけでSLEになりやすくなるとは言えなかった

紫外線を最も多く浴びていたグループでは、SLE全体の発症リスクは1.28倍でした。

一見すると増えているようにも見えますが、**95%信頼区間(0.96~1.70)**には1.0が含まれており、統計学的な有意差はありませんでした。

つまり、この研究では

「紫外線を浴びるだけでSLEになりやすくなる」とは証明されませんでした。


光線過敏を伴うSLEでも有意な差は認められず

紫外線を多く浴びた人では、光線過敏を伴うSLEも1.29倍多い傾向でした。

しかしこちらも統計学的には有意差がなく、紫外線曝露だけで光線過敏を伴うSLEが増えるとは結論づけられませんでした。


一方で「蝶形紅斑を伴うSLE」は有意に増加

今回の研究で最も興味深かったのはここです。

蝶形紅斑(頬から鼻にかけて現れる赤い発疹)を伴って発症したSLEでは、

紫外線曝露が最も多い群で発症リスクが約1.6倍(HR 1.62)

となり、統計学的にも有意な差が認められました。

つまり、

紫外線はSLE全体の発症よりも、皮膚症状を伴うタイプのSLEの発症に関係している可能性

が示唆されました。


なぜ紫外線で皮膚症状が悪化するの?

紫外線を浴びると、皮膚の細胞(ケラチノサイト)が傷つき、普段は免疫から見えない自己成分が表面に現れます。

その結果、

  • 自己抗体が反応しやすくなる
  • TypeⅠインターフェロンなど炎症を引き起こす物質が増える

などの変化が起こり、皮膚の炎症につながると考えられています。

一方で、紫外線にはビタミンDの産生を促すなど、免疫を調節する作用もあるため、単純に「紫外線=悪」とは言えないことも分かっています。


この研究から分かったこと

今回の研究から分かったことは次の3点です。

  • 紫外線がSLE全体の発症リスクを有意に高める証拠は得られなかった。
  • 光線過敏を伴うSLEも有意な増加は認められなかった。
  • 一方で、蝶形紅斑を伴うSLEでは発症リスクが約1.6倍となり、紫外線との関連が示唆された。

日常生活ではどうすればいい?

SLEの患者さんでは、紫外線によって皮疹や病気が悪化することがあります。

そのため、

  • 日焼け止めを使用する
  • 帽子や日傘を活用する
  • 真夏の日中の長時間の屋外活動を避ける

といった紫外線対策はおすすめです。

一方で、この研究は

「紫外線を浴びたからSLEになる」ということを示したものではありません。

必要以上に紫外線を恐れるのではなく、適切な紫外線対策を行いながら日常生活を送ることが大切と言えるでしょう。


院長コメント

前述のように全身性エリテマトーデスの患者さんは光線過敏を持っている方が多く、日焼けが病気の悪化になることは広く知られています。

また実はシェーグレン症候群でも環状紅斑という皮膚症状がある人は、一部で紫外線で皮膚症状が悪化したという報告があります。(Br J Dermatol. 2002 Dec;147(6):1102-8.)

また皮膚筋炎においても日光過敏はよく見られ、こちらも紫外線が増悪のリスクになる可能性も言われています。(Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2004 Oct;20(5):230-4. )

一方で関節リウマチや全身性強皮症においてはあまり紫外線による悪化はあまり報告されていません。

全身性エリテマトーデスのように明らかに紫外線が病気に悪影響がある疾患の方は注意が必要ですが、それ以外の人で膠原病を怖がって過剰に紫外線を気にする必要性は低いのかもしれません。

一方で、光線過敏が全身性エリテマトーデスなどの病気を診断するきっかけになることもあります。

日光を浴びたあとに、

  • 皮膚が強く赤くなる
  • 発疹が長く残る
  • 水疱ができる
  • 発熱や関節痛、強いだるさなども一緒に現れる

といった症状を繰り返す方は、一度、皮膚科やリウマチ科・膠原病内科を受診してみてもよいかもしれません。

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