- 2026年9月8日
健康診断でリウマトイド因子(RF)が陽性。将来リウマチになる?|御所南リウマチ膠原病どいクリニック(京都市中京区)
当院を受診する患者さんの中に、一定数「健診でRF(リウマチ因子)が陽性と言われたので受診しました。」という方がいらっしゃいます。
また健診の判定結果も、「要経過観察」、「要精査」と判定結果が一定でないこともあり患者さんが困惑することもあるようです。
最終的に「RFが陽性だったら病院を受診するべきですか?」という根本的な質問もよくお聞きします。
基本的には「朝のこわばりや、関節の痛みなどがある場合は関節リウマチの可能性があるので受診してください。またシェーグレン病など他の膠原病でもRFが陽性になることはあるので注意が必要です。」とお答えしています。
せっかくなので今日はRF陽性に関する文献をご紹介します。
Elevated rheumatoid factor and long term risk of rheumatoid arthritis: a prospective cohort study. BMJ. 2012 Sep 6;345:e5244.
以下はAI要約を中心に追記・修正しています。
研究目的
一般人口において、リウマトイド因子(RF)が高値であることが、将来の関節リウマチ(RA)発症リスクと関連するかを検討した前向きコホート研究です。
対象・方法
Copenhagen City Heart Studyに参加した、研究開始時点でRAのない9,712人、年齢20〜100歳を対象としました。
1981〜1983年に採血し、IgM-RFを測定。2010年まで最大28年間追跡しています。追跡中に183人がRAを発症しました。
RFは以下の4群に分類されました。
| RF値 | 人数 |
|---|---|
| <25 IU/mL | 9,294人 |
| 25–50 IU/mL | 176人 |
| 50.1–100 IU/mL | 187人 |
| >100 IU/mL | 55人 |
主な結果
RF値が高いほど、将来RAを発症するリスクは明確に上昇しました。
RF <25 IU/mLを基準とした多変量調整後ハザード比は、
| RF値 | RA発症ハザード比 |
|---|---|
| <25 | 1.0 |
| 25–50 | 3.6 |
| 50.1–100 | 6.0 |
| >100 | 26 |
でした。
また、RF値が2倍になるごとにRA発症リスクは3.3倍になりました。
10年間の絶対リスク
最もRA発症リスクが高かったのは、
50〜69歳の女性、喫煙者、RF >100 IU/mL
の群で、**10年間のRA発症率は32%**でした。
つまり高リスク群では約3人に1人が10年以内にRAを発症したことになります。
RF高値からRA発症までの期間
RA診断までの中央値は、
| RF値 | RA診断までの中央値 |
|---|---|
| <25 | 15年 |
| 25–50 | 12年 |
| 50.1–100 | 7年 |
| >100 | 7年 |
でした。
RFは臨床的な関節炎が出現するかなり前から高値になることがあることを示しています。
他の自己免疫性リウマチ疾患との関連
RFが2倍になるごとの発症リスクは、
- RA:3.3倍
- Sjögren症候群:1.8倍
- SLE:2.5倍
- 全身性強皮症:3.1倍
という傾向でした。
ただし、RA以外の疾患は発症数が少なく、統計学的に有意とは言えない結果でした。
RA発症時のRF陽性率について
論文では、RA患者のRF陽性率について、
- 発症時:約40%
- 経過中には最終的に:約80%
と記載されています。
このため、早期RAではRF陰性例がかなり存在します。
年齢とRF
一般に「RFは加齢で上昇する」と言われることがありますが、この研究では、20〜100歳までRF値はほぼ一定で、明らかな年齢依存性は確認されませんでした。
研究の強み
- 一般人口から無作為抽出された大規模コホート
- 9,712人
- 最大28年間の長期追跡
- 追跡率100%
- RF測定値は研究期間中、患者や医師に知らされておらず、診断行動への影響が少ない
という点が強みです。
限界
主な限界として、
- RA診断はデンマークの患者登録データに基づく
- RFはRA分類基準の一部なので、高RFの人がRAと診断されやすくなる可能性
- RFのカテゴリー設定自体がRAとの関連を最大化するよう設定されており、リスクがやや過大評価される可能性
- 対象が白人デンマーク人に限られており、他の人種・民族にそのまま一般化できない
- 抗CCP抗体のデータがない
ことが挙げられています。
結論
一般人口においても、RF高値は将来のRA発症リスク上昇と強く関連していました。
特にRF >100 IU/mLでは、RF <25 IU/mLと比較して、長期的なRA発症リスクは26倍でした。
一方で、RF高値はRAの確定診断を意味するものではなく、絶対リスクは年齢・性別・喫煙歴などによって大きく異なります。
感想
RFは弱陽性でもリウマチになるリスクが3.6倍、強陽性であれば26倍と、やはり関節リウマチとの関連が強い検査であることが分かります。
しかしRFが強陽性で、さらに年齢・性別・喫煙歴まで含めて最もリスクが高い群でも、10年以内に関節リウマチになった方は3分の1以下です。
またリウマチになったとしても、中央値が7年後ということから、健診でRFが陽性であればすぐに病院を受診してください。ともいいづらい結果です。
一方でRF陽性の方はシェーグレン病・全身性エリテマトーデス・全身性強皮症など他の膠原病になるリスクが高い傾向があったことも注意が必要です。
そのため、RF陽性で朝のこわばり、関節の痛み・腫れなどがある方はもちろん、皮疹、原因不明の微熱・発熱、目や口の乾燥などの症状がある方も、一度医療機関への受診を検討してもよいと思います。