- 2026年7月14日
朝のこわばりってどんな症状?|御所南リウマチ膠原病どいクリニック(京都市中京区)
朝のこわばりは関節リウマチの代表的な症状のひとつです。実際クリニックでも朝のこわばりからリウマチを心配して受診される患者さんはたくさんいらっしゃいます。
でも改めて考えると朝のこわばりってどんな症状なのでしょう?
というわけで今回は「朝のこわばり」に関してまとめた文献を紹介します。
Is it possible to objectively determine morning stiffness in rheumatoid arthritis? Turk J Phys Med Rehabil. 2024 Jan 4;70(2):180-187.
以下はAI翻訳を修正・追記しています。
朝のこわばりって何?
朝起きたときに「手が握りにくい」「指が曲がらない」「関節が動かしにくい」と感じる症状を朝のこわばりと呼びます。
関節リウマチを代表する症状の一つで、体を動かしているうちに徐々に改善することが特徴です。
「朝だけ動きにくいなんて気のせいでは?」と思われる方もいますが、近年では朝のこわばりは実際に運動機能が低下している状態であることが客観的に示されています。
実際に朝はどれくらい動きにくくなる?
2024年の研究では、関節リウマチ患者26名と健常者26名を対象に、朝(8〜9時)と午後(15〜17時)の運動機能を比較しました。
研究結果
| 評価項目 | 朝 | 午後 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 動作時間(Motor reaction time) | 459 ms | 414 ms | 約10%改善(p=0.030) |
| 反応時間(Response time) | 1627 ms | 1575 ms | 有意に改善(p=0.031) |
| 握力 | 0.22 bar | 0.28 bar | 約27%増加(p=0.007) |
| 痛み(VAS) | 6/10 | 4/10 | 有意に改善(p=0.002) |
一方、健常者では朝と午後でこれらの変化はほとんど認められませんでした。
つまり、関節リウマチでは
- 朝は手を動かすスピードが10%程度遅くなる
- 握力が27%程度低下する
- 痛みが強くなる
という変化が、患者さんの感覚だけでなく客観的な測定でも証明されたのです。
朝のこわばりは生活への影響とも強く関係しています
この研究では、朝のこわばりの持続時間や強さが、疾患活動性や日常生活動作とどの程度関連するかも調べています。
朝のこわばりとの関連
| 項目 | 相関係数(r) |
|---|---|
| 朝のこわばりの強さ × DAS28 | 0.639 |
| 朝のこわばりの時間 × DAS28 | 0.448 |
| 朝のこわばりの強さ × HAQ | 0.768 |
| 朝のこわばりの時間 × HAQ | 0.721 |
この結果から、
- 朝のこわばりが強いほど疾患活動性(DAS28)は高い傾向がある
- それ以上に、日常生活への支障(HAQ)と非常に強く関連している
ことが分かりました。
実際、論文でもDAS28では寛解と評価されていても朝のこわばりが残る患者さんがおり、仕事や家事、生活の質(QOL)に大きな影響を与えることが指摘されています。
そのため診察では、血液検査や関節の腫れだけでなく、
- 朝どれくらい動かしにくいか
- 何分くらい続くのか
- 家事や仕事にどの程度影響しているか
といった症状も重要な評価項目になります。
なぜ朝にこわばりが起こるのでしょうか?
朝のこわばりの原因は完全には解明されていませんが、現在では主に次のようなメカニズムが考えられています。
① 夜間から早朝に炎症が強くなる
IL-6やTNF-αなどの炎症性サイトカインは夜間から早朝にかけて増加し、体内で分泌されるコルチゾール(副腎皮質ステロイド)だけでは十分に抑えきれないため、朝に炎症症状が強くなると考えられています。
② 長時間関節を動かさない影響
睡眠中は何時間も関節を動かさないため、炎症のある関節では動き始めに強いこわばりが生じます。
ただし、健康な人では長時間眠っていても強いこわばりは起こらないことから、「安静だけ」が原因ではなく、炎症が加わることで朝のこわばりが生じると考えられています。
まとめ
朝のこわばりは、「朝だけ少し動きにくい」という曖昧な症状ではありません。
実際の研究では、朝には動作速度の低下、握力低下、痛みの増加が客観的に確認されており、その程度は日常生活への支障とも強く関連していました。
感想
朝のこわばりという抽象的な症状が、朝は昼間と比べて30%近く握力が落ちる。手を動かす速度が10%くらい低下する、など具体的な数値で表されていて興味深い報告でした。
炎症性サイトカインが夜に上昇することが一因として考えられていることに関しては、JAK阻害薬であるオルミエントが、朝食後より夕食後に飲んだほうがよく効くかもしれない、という報告もあります。(Arthritis Res Ther. 2025 Apr 17;27(1):91.)
関節の腫れや痛みと同じく、朝のこわばりも治療対象とするべき症状なんだと改めて感じました。
朝は手がこわばって、力が入りづらい。昼間より動作がしづらい。
そんな症状にお悩みの方。一度近くのリウマチ科・膠原病内科受診もご検討ください。