- 2026年7月10日
関節リウマチは遺伝する?|御所南リウマチ膠原病どいクリニック(京都市中京区)
こちらも外来でよく聞かれる質問。
「リウマチって遺伝するんですか?」「家族や親戚にリウマチがいます。私も将来リウマチになるんでしょうか?」
リスクは上がるものの、関節リウマチ自体が100人に一人程度の発症率なので、そこまで心配しなくてもいいと思います。とお返事しています。
せっかくですので今回は関節リウマチの遺伝に関する文献をご紹介します。
Rheumatoid arthritis: a comprehensive overview of genetic markers, emerging therapies, and personalized medicine. Ann Med Surg (Lond). 2025 Jan 7;87(2):696-710.
この文献では、関節リウマチと遺伝の関係、家族歴がある場合の発症リスク、そして喫煙などの生活習慣との関係について、説明しています。
以下はAI要約を修正・追記したものです。
家族にリウマチがいると自分もなる?遺伝や生活習慣の関係
現在の研究では、関節リウマチ(RA)には 遺伝的ななりやすさ(遺伝的素因) が関係していることがわかっています。ただし、遺伝だけで病気が決まるわけではなく、生活習慣や環境要因も発症に大きく関わります。
家族歴があると、発症リスクはどれくらい上がる?
関節リウマチ(RA)の一般的な生涯発症リスクは、約0.5〜1% とされています。これに対して、親・兄弟姉妹・子どもなどの第一度近親者にRA患者さんがいる場合 は、発症リスクが 約2〜4倍程度 高くなると報告されています。
| 状況 | RA発症リスクの目安 |
|---|---|
| 家族歴がない一般の方 | 約0.5〜1% |
| 第一度近親者にRA患者さんがいる場合 | 約2〜4% |
つまり、家族歴があることでリスクは上がりますが、家族歴があっても90%以上の方は発症しない ということになります。
なぜ家族歴があるとリスクが上がるのか?
その背景には、免疫の働きに関わる 遺伝子 が関係していると考えられています。RAでよく知られている遺伝子には、次のようなものがあります。
主要な遺伝子とリスクの目安
| 遺伝子 | RA発症リスクの目安 |
|---|---|
| HLA-DRB1 | 約2〜5倍程度(共有エピトープを持つ場合) |
| PTPN22 | 約1.5〜2倍程度(主に欧州系集団で) |
| PADI4 | 約1.3〜1.8倍程度(特に東アジア集団で) |
- HLA-DRB1:RAとの関連が特に強い遺伝子で、共有エピトープを持つ場合に発症リスクが上昇します。
- PTPN22:免疫細胞の働きを調節する遺伝子で、特に欧州系集団でRAとの関連が報告されています。
- PADI4:タンパク質の変化(シトルリン化)に関わる遺伝子で、日本人を含む東アジア集団でRAとの関連が比較的強く報告されています。
これらの遺伝子を持っていることは「発症しやすい体質」を示すものであり、遺伝子を持っているだけで必ず発症するわけではありません。
遺伝以外の要因も大きく関与する
RAは、複数の遺伝要因に加えて、環境要因や生活習慣 が重なることで発症すると考えられています。特に、喫煙 はRAの発症リスクを高める重要な環境因子として知られています。
- 喫煙:非喫煙者と比べて、RA発症リスクが 約1.5〜2倍程度 高くなると報告されています。
- HLA-DRB1の遺伝的素因を持つ方が喫煙している場合:特に 抗CCP抗体陽性RA の発症リスクがさらに高くなることが知られています。
- その他の要因:感染症、ホルモンバランスの変化、肥満、慢性的な炎症状態なども発症に関与する可能性があります。
喫煙は、タンパク質の シトルリン化 を促進し、免疫系が自己のタンパク質を異物として認識しやすくすることで、RA発症につながると考えられています。
家族歴と喫煙が重なると?
家族歴による遺伝的素因に加えて喫煙習慣がある場合、RA発症リスクはさらに高まる可能性があります。特に、HLA-DRB1の共有エピトープを持つ方が喫煙している場合 は、抗CCP抗体陽性RAの発症リスクが大きく上昇することが報告されています。
ただし、喫煙している方や家族歴がある方でも、必ず発症するわけではありません。逆に、家族歴がなくても発症することはあります。
まとめ
- リウマチには 遺伝的ななりやすさ が関係しています。
- 関節リウマチでは、家族歴がない場合の生涯発症リスクは 約0.5〜1%、第一度近親者に患者さんがいる場合は 約2〜4% 程度と考えられます。
- HLA-DRB1、PTPN22、PADI4 などの遺伝子が発症リスクに関与しています。
- ただし、喫煙、感染症、ホルモンバランス、生活習慣 などの環境要因も発症に大きく関与します。
- 喫煙者では、RA発症リスクが 約1.5〜2倍程度 高くなると報告されています。
- 家族歴があっても、多くの方は発症しません。
※記載している数値は、研究による報告をもとにした おおよその目安 です。個人の発症リスクは、遺伝的背景や生活環境によって異なります。
感想
関節リウマチの家族がいても、自分自身がリウマチになる可能性は2~4%程度。と聞けば安心できる人も多いのではないでしょうか?
ちなみに双子の一卵性双生児の片方がリウマチになった場合、もう一人もリウマチになる可能性は15%とも報告されています。(Br J Rheumatol. 1993 Oct;32(10):903-7.)
高い数字ではありますが、遺伝子的にまったく同一の人でも85%はリウマチにならないと考えると、遺伝以外の外的な要素が大きいことが分かります。
また喫煙も発症のリスクになるため、せっかくであれば禁煙を勧めるきっかけになればと思います。
とはいえ家族歴がリスクになることは間違いありません。
リウマチの家族がいる方で、関節のこわばり・痛みなどが気になる人は一度、リウマチ科や膠原病内科への相談もご検討ください。