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関節リウマチとは

関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis:RA)は、免疫の異常によって自分自身の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。関節を包む「滑膜(かつまく)」に炎症が起こり、その炎症が続くことで関節の腫れや痛み、朝のこわばりなどの症状が現れます。
炎症が長期間続くと、軟骨や骨が徐々に傷つき、関節の変形や機能障害につながることがあります。しかし、近年は治療の進歩により、早期に診断して適切な治療を開始することで、関節の破壊を抑えられるようになっています。
発症は30〜50歳代に多くみられますが、若い世代から高齢の方まで幅広い年代で発症します。近年では70歳以上で発症する高齢発症関節リウマチも増えています。
また、関節リウマチは関節だけの病気ではありません。肺・血管・皮膚など様々な臓器に影響を及ぼすことがあるため、関節症状だけでなく全身の状態にも注意しながら診療を行うことが大切です。
関節リウマチの原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的な要因に加え、喫煙や歯周病などの環境要因が複雑に関与して発症すると考えられています。そのため、治療だけでなく、禁煙や口腔内の健康管理も重要です。

正常な関節、初期の関節リウマチ、進行した関節リウマチの図

関節リウマチの
初期症状

関節リウマチは、ある日突然激しい痛みが現れるというよりも、日常生活のちょっとした違和感から始まることが多い病気です。

このような症状から始まり、数週間から数か月かけて徐々に進行することが多くみられます。また早期に診断・治療を開始することで、将来の関節の破壊を防げる可能性が高くなります。
関節リウマチで最も特徴的な症状の一つが朝のこわばりです。
起床後に手が動かしにくく、指を握ったり開いたりしづらい状態が続きます。体を動かすにつれて改善することが多いものの、30分以上続く場合は関節に炎症が起きている可能性があります。

Q. どの関節から始まることが多い?

A. 手首や指が多いですが、足から始まることも珍しくありません。

関節リウマチは手の関節から始まることが多い一方で、足趾(足の指)や足関節から症状が現れることも少なくありません。
初診時には、手首が最も腫れている関節であり、約40%の患者さんで認められたという報告があります。次いで手指、足趾の関節が続きます。
さらに、日本人5,479人を対象とした研究では、約44%の患者さんが足や足関節から症状が始まったと報告されています。足だけに症状が現れる関節リウマチも決して珍しくありません。(PLoS One. 2018 Sep 6;13(9):e0202427)
また、約75%の患者さんでは左右対称に症状がみられますが、約25%は片側だけから始まります。そのため、「片側だけだから関節リウマチではない」とは言い切れません。(PLoS One. 2023 Jul 6;18(7))

Q. 高齢になってからのリウマチはなにかちがう?

A.肩や膝など大きな関節から始まることが多いともいわれています。

高齢で発症する関節リウマチでは、肩や膝などの大きな関節から症状が始まることがあり、リウマチ性多発筋痛症(PMR)とよく似た症状を示すことがあります。
一方で、近年の研究では、高齢発症でも手指や手関節から始まる例は少なくなく、若年発症との違いは必ずしも明確ではないことも報告されています。(Medicina (Kaunas). 2023 Oct 23;59(10):1878.)

Q .関節リウマチは関節だけの病気?

A. 微熱や倦怠感などの全身症状や、肺をはじめとする臓器の合併症が現れることがあります。

関節リウマチでは、関節の痛みや腫れだけでなく、倦怠感や微熱、疲れやすさ、食欲低下、体重減少などの全身症状を伴うこともあります。
また、間質性肺炎(肺の組織に炎症や線維化が起こる病気)を約10~20%の患者さんが合併すると報告されており、間質性肺炎が合併している患者さんでは予後が悪いという報告もあります。(Ann Med. 2024 Dec;56(1):2332406.Ann Rheum Dis. 2017 Oct;76(10):1700-1706.)
「何となく体調が優れない」「関節の違和感が続いている」「咳や息切れが続いている」という場合にも、関節リウマチをはじめとする膠原病が隠れていることがあります。

関節リウマチの
検査

関節リウマチは、一つの検査だけで診断できる病気ではありません。
症状や関節の診察所見に加え、リウマチ因子(RF)や抗CCP抗体といった血液検査や画像検査を組み合わせ、総合的に診断します。
また海外のリウマチ学会が作成した分類基準を参考にすることもあります。

関節リウマチ分類基準の表

血液検査

血液検査では、炎症の程度や自己抗体の有無を調べます。

リウマチ因子(RF)

RFは、関節リウマチで最初に発見された自己抗体で、関節リウマチ患者さんの約70%で陽性となります。しかし、発症早期では感度は41~66%と報告されており、RFが陰性でも関節リウマチを否定することはできません。
一方で、RFは関節リウマチに特異的な検査ではありません。シェーグレン症候群や全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病、慢性感染症でも陽性となることがあります。また、健常者でも陽性となることがあり、特に85歳以上では25%以上が陽性と報告されています。( J Clin Med. 2025 Feb 25;14(5):1529. )
そのため、「RFが陽性だから関節リウマチ」「RFが陰性だから関節リウマチではない」と判断することはできません。
一方で、健康診断などでRF陽性を指摘され、朝のこわばりが30分以上続く場合や、関節の痛み・腫れが続く場合には、一度リウマチ専門医を受診することをおすすめします。

抗CCP抗体

抗CCP抗体は、関節リウマチに最も特異性の高い自己抗体です。
関節症状がある患者さんで抗CCP抗体が陽性の場合、関節リウマチである可能性が高く、診断に非常に役立つ検査です。(Arthritis Rheum. 2004 Mar;50(3):709-15. )
また、発症早期から約60~70%の患者さんで陽性となり、関節症状が現れる数年前から検出されることもあります。そのため、関節リウマチの早期診断や発症リスクの評価にも重要な検査と考えられています。
さらに、抗CCP抗体陽性の患者さんでは、関節破壊(骨びらん)が進行しやすいことが報告されています。 (Clin Exp Med. 2024 Jul 8;24(1):153.)
また、喫煙や歯周病は抗CCP抗体陽性との関連が報告されており、関節リウマチの発症リスクを高める環境因子と考えられています。

MMP-3

MMP-3(マトリックスメタロプロテイナーゼ-3)は、関節の炎症の程度を反映する血液検査の一つです。関節の滑膜で産生される酵素で、関節リウマチでは炎症によって血液中の値が高くなります。
早期関節リウマチでは約67%で上昇したと報告されており、RFや抗CCP抗体と組み合わせて診断の参考となることがあります。(Rinsho Byori. 2003 Oct;51(10):1030-5.)
また、病気の活動性が高いほどMMP-3値も高くなる傾向があり、高値では将来的な関節破壊(骨びらん)の進行リスクと関連することが報告されています。(Ann Clin Biochem. 2025 Jan;62(1):3-21.)
そのため、病気の活動性や治療効果を評価するためにも測定される検査です。
一方で、MMP-3は関節リウマチ以外の関節炎や肝疾患などでも上昇することがあるため、MMP-3だけで関節リウマチを診断することはできません。診断には、症状や診察所見、他の血液検査や画像検査などを総合的に評価することが重要です。

レントゲン検査(X線検査)

レントゲン検査では、関節の骨や軟骨の変化を確認します。
主に次のような所見を評価します。

  • 骨びらん(炎症によって骨が削られた状態)
  • 関節裂隙の狭小化(軟骨がすり減り、関節の隙間が狭くなった状態)
  • 関節の変形

これらの所見は、関節リウマチの診断や関節破壊の進行度を評価するうえで重要です。また、治療前後の画像を比較することで、関節破壊が進行していないかを確認することもできます。
一方で、発症初期にはレントゲンで異常が認められないことも少なくありません。 そのため、症状や診察所見、血液検査に加え、必要に応じて超音波検査やMRIなどを組み合わせて総合的に診断します。

関節超音波(エコー)検査

関節超音波(エコー)検査では、レントゲンでは確認できない関節の滑膜炎や腱鞘炎をリアルタイムで観察できます。
主に次のような所見を評価します。

  • 滑膜炎(関節を包む滑膜の炎症)
  • 関節液貯留
  • 炎症に伴う血流シグナルの増加(パワードプラ法)

レントゲンでは異常が認められない発症初期でも炎症を確認できることがあり、関節リウマチの早期診断に役立つ検査です。
また、滑膜肥厚や血流シグナルの変化を経時的に確認することで、病気の活動性や治療効果を評価し、治療経過を確認するうえでも重要な検査です。
当院では関節超音波検査を積極的に行い、診察だけでは分かりにくい滑膜炎や腱鞘炎の評価に役立てています。

Q. 血液検査が大丈夫ならリウマチではないですか?

A.血液検査が陰性でも関節リウマチのことがあります

関節リウマチ患者さんの約20~30%は、リウマチ因子(RF)と抗CCP抗体の両方が陰性です。このような関節リウマチを、血清反応陰性関節リウマチ(Seronegative Rheumatoid Arthritis)といいます。
そのため、血液検査だけで関節リウマチを否定することはできません。
診断では、症状の経過や関節の診察、血液検査、レントゲン検査、関節超音波検査(必要に応じてMRI検査)などをもとに、総合的に判断します。
血液検査が陰性であっても、関節リウマチであることは決して珍しくありません。
朝のこわばりや関節の痛み・腫れが続く場合は、早めにリウマチ・膠原病専門医へご相談ください。

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関節リウマチの
治療

関節リウマチ治療の目標

関節リウマチの治療では、炎症を十分に抑えて関節の痛みや腫れを改善し、現在の日常生活をより快適にすること、そして関節破壊の進行を防ぎ、将来もこれまでと変わらない生活を続けられるようにすることを目標としています。
現在では、症状がほとんどなく日常生活に支障のない「寛解(かんかい)」と呼ばれる状態を目指して治療を行います。
関節リウマチでは、関節破壊は発症早期から始まり、特に発症後5年以内に進行しやすいことが分かっています。そのため、できるだけ早期に診断し、適切な治療を開始して寛解を目指すことが重要です。(J Rheumatol. 1989;16:585-591)
近年は、メトトレキサートや生物学的製剤、JAK阻害薬などの治療薬の進歩により、多くの患者さんで病気を良好にコントロールできるようになりました。その結果、寛解を維持し、仕事や家事、趣味などをこれまでと変わらず続けられる患者さんも増えています。

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